紀行篇
写真篇
翌日はどこまで行くか迷ったが、最終日の買い物の効率化のためにはダブリンから2時間以内の場所に泊まる必要がある。ポイルの僧院に立ち寄る。マクダーモット家が領主だったこの町は、あの放浪のハーピスト、ターラ・オカ口ーランの生まれたところで年一回ハープ・フェスティヴァルも開かれる。僧院を見た後、町に入るが小さくて特徴は少ないところだった。フェスティヴァル期間でもないので特に見るものもなく缶ジュースだけ買って出発してしまう。
次のロスコモンは通過、当てのないままにアスロ―ンで少し散歩。シャノン川のほとりに立つ城塞が博物館になっているが併設されたツーリスト・インフォだけ立ち寄る。アスロ―ンといえばラルフ・ネルソン監督の映画「フライト・オブ・ザ・ダブズ」(小さな冒険者)で主人公の兄妹が鋳掛け屋のおねえさんと知り合う場所だ。夕日を浴びてたゆたうシャノン川に沿って見えたきれいな町、というのが映画からの印象だったが、実際には余り特徴のない町。兄妹の目的地のゴールウェーにある丘を下りた海に面した白い家が二人の目指した優しいおばあさんの家、という筋書きだった。まあガソリン・スタンドやマクドナルドを映しても絵にならないからしょうがない。
アスロ―ンはそこそこにして古い修道院跡があるクロンマクノイズに行くことにした。フランス語のような綴りなのでクロマクノワなどと読んでいたがよく考えたらクロンマクノイズと言うのか。アクセスは決して便利ではないのに観光バスで沢山の人が来ていた。シャノン川を見おろす緑の台地にいくつかの廃墟となった小さな修道院跡とたくさんのケルト十字が並ぶ。クロンマクノイズを離れ、ミシュランにあった近くの石関係の遺跡に立ち寄る。随分歩いたのに大きめの石が一個転がっていただけでがっかりする。アイルランドといえど、そこここにニューグレンジ級の巨石遺物があるわけではない。
そろそろ宿泊地を探しながら移動する。ビールという名の町はホテルで展示会があり満員の様子。日も傾き、再び宿を探してきまよう身となる。近くの大きな町というと次はタラモアだ。町の広場の公衆電話からミシュランにも出ている SEA DIEW HOTEL というすてきな名前のゲストハウスにかけると空き部屋があるとのこと。ゲストハウスと言えばB&B並のキャパシティなので諦めていたのに運がいい。広場から1キロぐらい町外れにあるホテルに着くと、庭がきれいで建物も新しい。ホテルガイドに写真の載っていた優しそうな女主人が応対した。なるほど支配人の顔写真入リホテルガイドはかくの如く役に立つのか。ふつうの家庭に招かれたようなインティメットな雰囲気の宿屋。ここにはレストランがないので夕食をとりに再び町へ下りる。食事の前に再び広場の電話からダプリンのホテルに電話を掛けまくるが全て満員の返事。一国の首都だと言うのにホテルが全部満員なんてどうなってるのか。ミシュランだけでは限りがあるので現地のホテルガイドも見ながら継続トライ。だんだん電話をかけるのが郊外のホテルになり、テレカも殆ど使い果たしてしまうが、どこも一杯。ああ、最後の晩にはアイルランド音楽のライブを見ようと思っていたダブリン宿泊も諦めるが、それでもダメ。近郊のホテルも全ていっぱい。ここはとりあえず休戦しレストラン探しに移る。道ばたに見つけた小さなレストランは西洋多国籍料理風の店で魚料理にするととてもいい味。満足してホテルに戻る前に並びのパブに入リ、町にちなんでタラモア・デューを引っかけた。甘日のウィスキーで、ジェイムソンのような辛口の方がナイトキャップには良かったかも知れない。ホテルに戻り、寝心地の良いベッドでゆっくり休みをとった。