北アイルランドから再びスライゴー

朝は港を見ながらフル・ブレックファーストだ。昨日の午後のホテル探しのような夕方のドライブではまるっきり気持ちの余裕がなかったし小雨がちの天気も興をそいだので、今日は逆回りにもう一度ドネガル地方をじっくり走ることにした。グレンゲッシュ峠越えの道がよさそうなので、キリベグスから西に海岸線を行くことにした。天気も良く、海が美しい。その海を見おろしてこぎれいなB&Bが点々としてぃる。ホテルにパンフレットが置いてあった海を見下ろす丘に建つレストランが見えた。朝なのでまだ開いていない。海側は全面のガラスで夕日を見ながらの食事はさぞかし素晴らしいことだろう。海を離れグレンゲッシュ峠に上る。向こう側はガイドブックにある写真通りの光景。先にガイドブックを見てしまうとどうも写真の後の追体験という感じになってかえって印象が薄れてしまう。下りきったところが昨日泊まらなかったアルダラの町になる。昨日から目を付けていたニット製品のアウトレット店に立ち寄る。ここでツイードのジャケットや特価品の七―ターを買う。暖かそうなミトンが4ポンド、セーターも一着30ポンドと格安たっポリ買って店を後にする。

しばらくは昨日と逆コースで湖の所で脇に外れグレンヴェー国立公園に向かう。途中で今度はフランス人のカップルを乗せた。アミアンから来たという二人はもうひとつきもアイルランドをぶらぶらしていると言う。パスは高いしヒッチハィクが簡単に出来るから、ずっとこれで旅をしてぃるらしい。グレンヴェーはアイルランド中でも一番雄大な景色かも知れない。面積自体はそれ程広くはないが風景の作り方なのか実際より雄大な高原という感じがする。彼らが降りなければならなかったを通り過ぎてしまったので先のチャーチヒルという集落で降ろす。ここまで来るとフランスにもありそうな普通の農村の風景。少し寄り道してグレンヴェーのヘリテッジセンターを訪ねると、いわゆる郷土博物館みたいなもので出土した古代ケルト文明の遣品や、ケルズの書の染料などの展示で15分あれば十分見てしまえる。もとの道に戻るとチャーチヒルでは先程のカップルが逆方向の車を待っていた。この後、最短距離でレタケニ一に行く必要も無く、少し逆方向に走り国道に出ることにして再び彼らを乗せた。

国立公園の端をかすめて国道に出て彼らを降ろしレタケニーは素通りして英国領北アイルランドへ向かう。国境の検問は無かったが検問所にはビデオカメラが設置されていて場合によっては中でチェックしているかも知れない。英国領にはいるととたんに道が良くなった。舗装の質が違うし路肩もしっかりしている。圧倒的なインフラの差。英国側には高速道路もたくさんある。でも地名標示はゲール語の表記が無くなり英語一本になったので何だか味気ない。景色は共和国側の荒涼とした感じとはうって変わり、穏やかでまるで南部アイルランドのよう。そのまま走るとケイヴァンに出てしまうので途中で湖の縁を通リバリシャノンに出ることにした。さすがに国道を外れると道は狭くなるがそれでも道幅には余裕がある。湖を左に見ながら走り小さな町を抜けると再び国境を越える。こちらは検問所すら無く注意していないとどこで共和国になったか分からない。バリシャノンからは昨日の逆コースでスライゴヘ向かう。途中で脇道にそれ海への道をとる。すっかり快晴となり、岬からはドネガルからキリベグスにかけての海岸線が見渡せた。海辺の景色を堪能し、今日の宿泊地スライゴへ。まずは収容人数が多いスライゴ・パークホテルを訪れるが、町から離れすぎているのでパス。結局町の中心部の代表的なスワン・リヴァー・ホテルに運良く部屋が有った。ここなら駐革場付きで町歩きにも好都合だ。

チェックインを済ませ、町歩きに繰り出すが小さな町なのですぐに一周してしまった。ツーリストインフォに立ち寄ったあと、すこしヴァリエーションをつけて町をもう一周。6時を過ぎると店も閉まり始め人通りが急に少なくなる。本屋が開いているのを見つけ、特価本を何冊か貫う。アイルランドのミュージシャンに関するBBC番組の本、アイルランド人の顔を集めた写真集(いかにもアイルランド系という顔ばかり)、スタウトに関する蘊蓄本など。パブでギネスを一杯欲んで再びホテルに。ホテルの前ではイェーツ記念館があり有名なイェーツ・サマースクールが開かれていた。日本人らしき顔も少し見られる。夕飯はガイドに出ていた中華レストランにする。町外れと思いこみ道を間違えて大分歩いてしまったが、それほど中心から離れてはいなかった。シーフードを中心にしてオーダー。白のハウスワインも頼むと、これは素晴らしい。料理の味は広東風で、海老は弾けるような歯触りで生でも食べられるくらい新鮮だ。おまけにこのハウスワインはフランスのテーブル・ワインだというのにすっきりとした癖のない味で特に中華にびったり。ちゃんと料理に合うように考えて選んでいることが分かる。パリの中華レストランのハウスワインだってこんなにレベルは高くない。一人食いであることもあリチップをはずんだ。食後の一杯をひっかけに訪れたパブはライブがあったものの、満員でよそ者は入りにくい感じ。ホテルのパーでギネスを飲んで部屋に戻った。