異国のラーメン

パリには何軒のラーメン屋があるのだろうか。 大都会だからということもあるが、ヨーロッパの街の中でも何軒ものラーメン屋があって、選ぶことが出来るというところはパリぐらいだ。次は多分、ロンドン。日本人の多いデュッセルドルフは、1軒のみ。ここは昔はヨーロッパで一番不味いラーメンと言われていたくらいだが、99年くらいから急激に味が改善された。どちらかというと今風のこってり系のスープは、当地ではコストも安いであろう豚のエキスがたっぷりという感じ。パリを離れて、時折訪れてもラーメン屋に顔を出すことは少なくなったが、さすがに住んでいるときには時折お世話になる。もっとも、うまいときはうまいのだが、ちょっとムラがある所が多い気がする。均質的品質管理という点では日本人が全てやらないといけないかもしれないが、そうも言っていられないだろうし、もともとマニュアルどおりにやるような商売じゃないから「カンと経験」が全てのところもあり、ムラが生じるのかもしれない。

  • ひぐま  :パリで最古のラーメン屋とされる(これは、自家製麺を使ったのが初めてということかもしれないが)。個人的にはちゃんぽんが好きだった。
  • 大阪屋  :サントノレ通りがオペラ通りと交わる近くにあって、ルーブル美術館を見たりブランド品の買い物を楽しんだ観光客も多い。
  • きんたろう:「ひぐま」にいた人が暖簾分けをしてもらった店だとか。熊に負けずに乗っかるということで、きんたろう。冷やし中華がうまい。
  • 北海道  :いろいろな店を食べ歩いて研究したとか。中華丼などもうまい。
  • 来々軒  :中華料理店のラーメンという感じだが、レベルが高く当たり外れも少ない。

決して熱心に行ったわけではないので、覚えているのはそのくらい。

ラーメン屋には、日本人のみならず、韓国人のお客さんも少なくないし、それ以上にフランス人が食べにきていることも多い。特にひとりで何か食べなければならない時なんかに便利なのだろう。

さすがに、地域別ラーメン店というのは無い。一風堂サン・ジェルマン店とか、あったらすごいけど。私は九州ラーメンが好きなので、それがあまり海外でラーメン屋に足が向かない理由かもしれない。トンコツ・スープというのはなかなかないから。それでも時折ラーメン屋に行ったのは、味も含めて、気楽さを求める部分からだろうか。

そういう意味では、牛丼屋なんかがあってもいい。トンカツ屋も見たことが無い。カレー屋も以前、サントノレ通りにあったらしいが、臭いに苦情が出てやめてしまった。もちろんロス・アンジェルスとかには全部あるけれど、ヨーロッパにはなかなかそこまで根付かない。そんな中で、ここまで勢力を拡大したことに、やはり「ラーメン」のパワーを思い起こさせる。

2000.7.23.