FLIE UNDER; Roots Music

島唄と言ってもブリテン諸島

20年前、「バロック音楽の楽しみ」でアルフレッド・デラーの歌うイギリス民謡(というより古謡と言った方がふさわしい)に心奪われ、石丸電気まで出かけていってカタログで探して発注すると、2週間ほどしてレコード会社の倉庫に少しだけ残っていたという在庫が届いた。 全部聴いても40分位だが、選曲、曲順がトータル・アルバムとして考えられたような内容でカセットにダビングして何度も聴いた。 伴奏のリュートが鳴っている背後に耳を澄ますと、時折小鳥のさえずりが聞こえる。 これはもちろん故意にミキシングしたものではなく、録音の時に入ってしまった「雑音」だと思うが、そんなこともかえってこのレコードに愛着を持つ要因になっていた。

Folksongs - Alfred Deller

(Harmonia Mudi France HMA190226)
cover photoB00007EEKG

その20年前のレコードがCDで復刻されたのがこれ。 40分の間に17曲だから、どれも1分半から3分ぐらいの曲が殆どでリュートの伴奏によりしっとりと歌われる。 イギリス民謡集などのレコードをクラシックのみならずフォークの分野からも聴いていくとよく耳にする曲が多い。 イェーツの詩によるDown by the sally garden'sなどベンジャミン・ブリテンが編曲したものなど聴き比べると面白い。私はShe moved through the fairを最も好む。そこからラストの無伴奏の「夕べの祈り」で締めくくられると心が洗われる。

The Three Ravens - Alfred Deller

(Vanguard Classics 08 8026 71)

Elizabethan Folk & Minstrel Songs なる副題が付されている。上記録音からさかのぼること15年余、1955年の10月にNYで録音された The Three Ravens を復刻したものが1である。曲はいくつか重複しており、壮年期のデラーの声を聴くことが出来る。こちらには有名なGreensleevesも入っている。(グリーンスリーブズのHarmonia Mundiへのステレオ再録音は"Shakespeare Songs" HAM 190202)更にこの復刻CDは、"The Wraggle Taggle Gipsies"というアルバムの復刻とあわせて一枚という徳用盤でデラーによるイギリス古謡がたっぷり73分楽しめる。

MI

(Berl)
photo_disc