真夏の聖誕祭

Merry Christmas in Summer (3)

Christmas in Early America - The Columbus Consort

(Channel Classics CCS5693)
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珍しい18世紀のアメリカのクリスマス音楽を集めたもの。ちょうど古典期だったヨーロッパ側のスタイルで作られている。大きく2部に分かれていて、最初はニュー・イングランド地方の音楽、後半はペンシルヴァニアやノース・キャロライナに移住したモラビア系の人々の音楽。但し、全ての曲は作曲者がクレジットされていて、アノニムさんによる曲というのは無い。最近はスペイン人が新大陸に持ち込んだ現地製のバロック音楽をリヴァイヴァルさせる試みなどもあるが、このようなアメリカの初期の音楽と言うのも興味深い。普通の音楽史からは全く見向きも去れないような植民地の古典音楽だが、やはり人がいる限り音楽もあったのか。音楽としては別にとりたてて面白くもないのかも知れないが、コロンバス・コンソートの演奏が腕達者なのか、だれずにアルバム1枚聴かせてしまう。最後のマニフィカトが、パッヘルベル作曲とある。ファースト・ネームはチャールズ・セオドーアとアメリカ人の名前。解説を見ると、何とパッヘルベルのカノンで有名なヨハンの息子であった。彼はボストン、ニューヨーク、チャールストンなどでオルガニストを務め、1750年に新大陸で世を去ったのだ。

DOUCE NUIT : Les chansons eternelles de Noël - H. van Veen & Ton Koopman

(Erato 0630-14771-2)
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ヘルマン・ヴァン・ヴェーンというオランダ出身の歌手によるフランスで歌われるクリスマス曲(フランス以外の起源のものが多いが)を収めたもので、耳馴染んだ曲も多く、ファミリー向けの体裁。ヴァン・ヴェーンはコメディア・デッラルテに材を求めた劇場作品の上演などで有名らしい。発声もミュージカル歌手のようだが、穏やかな歌いぶりは好感が持てる。そして、伴奏がなんとコープマン率いるアムステルダム・バロック・オーケストラというのが豪華。ちょっと異色のアルバムだが、日本では翌年には中古CD屋で500円くらいで叩き売られていそう。96年の発売。

LEGENDS OF ST. NICHOLAS - Anonymous 4

(Harmonia Mundi USA 907232)
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元祖サンタクロースであるところの、小アジアの聖ニクラウスの伝説に基づいた数々の歌を中世特殊癒し系ヴォーカル・アンサンブルのアノニマス4がたっぷり一枚にまとめた、異色のクリスマス・アルバム。もともとが、キリストの生誕とは全く関係ない聖人の伝説なので、厩も東方の博士も出て来ない。ジャケットの美しい細密画も、難破船を救ったり、3人の孤児にプレゼントしたりする聖ニクラウスの伝説によるもの。もうひとつ、1087年に今のトルコのミュラからイタリアのバリに亡骸が移されたことを題材にした絵が載っている。この後、欧州各地で聖ニクラウス伝説が広まっていくことになる。アノニマス4の歌は、相変わらず美しい。蒸留水のようでもあり、人工的でもある。何だか、ディズニーが癒し系事業を始めたような具合である。

CREATOR OF THE STARS - Pomerium

(Archiv 449 819-2)
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ポメリウムの演奏するクリスマス曲集。プレトリウス、ラッスス、ジョスカン、デュファイ、バード、オケゲムとルネッサンス音楽史を時代を行き来しながら鳥瞰するようなアルバムになっている。彼らの透明でソフトなアンサンブルはデュファイあたりに合っている。ちょっと軟弱でのぺっとした気がしなくも無いが。歌詞がクリスマスに因んでいるというだけで、もちろん全てラテン語であるし、イン・ドゥルチ・ユビリオを除いてはクリスマスっぽいメロディがあるわけでもない。クリスマス・アルバムというより、ルネッサンス名曲集。

Noël, Messe de minuit, Messe du jour - Abbaye St. Pierre de Solesmes

(Accord 221612)
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最後は、ソーレム唱法の総本山、フランス中央部はソーレムの聖ピエール修道院の修道僧達による降誕節のグレゴリオ聖歌。前半が「深夜ミサ」で後半が「日中ミサ」ということになっている。もちろん、そういうものだと言う予備知識無しに聴いても、研究者かラテン語の歌詞が聴いて分からなければクリスマス関係かどうかは全くわからない。様々なクリスマス・アルバムを2ダースも聴いて訳がわからなくなった耳をリセットさせる音楽の一つの原点。エソテリックな単旋律の響きに身をゆだねて、さあ、明日から仕事である。何のこっちゃ。

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